単純ヘルペス感染症とは
性行為感染症(STD)には、クラミジア感染症のほかに、
単純ヘルペスウイルス(Herpes Simplex Virus:HSV) の感染によって起こる病気があります。
単純ヘルペスウイルスには、主に次の2種類があります。
●HSV-1(単純ヘルペスウイルス1型):
主に口唇ヘルペスの原因となるウイルス
●HSV-2(単純ヘルペスウイルス2型):
主に性器ヘルペスの原因となるウイルス
従来は、
・口唇ヘルペス=HSV-1
・性器ヘルペス=HSV-2
と考えられていましたが、性の多様化に伴い、HSV-1による性器ヘルペスも増加しています。
症状について
初期症状
●初期には、「陰部の違和感/痛がゆい感じ」といった軽い症状から始まることが多くみられます。
●その後、陰部に小さな水疱(水ぶくれ)が出現し、水疱が破れることで、びらん(ただれ)を形成します。
この状態になると、
・排尿時に尿がしみる
・強い痛みを伴う
といった症状が出現することがあります。
初感染時の重症化
●初めて単純ヘルペスウイルスに感染した場合(初感染)には、症状が強く出ることがあります。
・性器周辺にびらんや潰瘍が多数形成される
・排尿時の激しい痛み
・痛みのため排尿困難となる
などの症状がみられ、入院治療が必要となることもあります。
単純ヘルペスウイルスの特徴(再発について)
単純ヘルペスウイルスの大きな特徴は、
一度感染すると体内から完全には排除されないという点です。
ウイルスは、神経節に潜伏し、症状が治まった後も体内に残存します。
そして、「日焼け/過労/ストレス/かぜなどによる体調不良」といった 体の抵抗力が低下した時に、
再び活動を始め、症状を繰り返します。このような状態を、不完全免疫と呼びます。
若年層で注意が必要な理由
若い世代では、「単純ヘルペスウイルスに対する抗体を持っていない人」が少なくありません。
そのため、パートナーが口唇ヘルペスを発症していることに気づかず、
キスや性行為などの濃厚な接触を行うことで、「口唇/性器などのデリケートな部位」に感染し、
発症することがあります。
新生児への感染について(重要)
単純ヘルペスウイルスは、新生児に感染すると、重篤な経過をたどることがあります。
場合によっては、「重い全身感染/死亡」に至ることもあり、特に注意が必要な感染症です。
そのため、
・陰部や口の周囲に水疱やびらんがある場合
・ヘルペスが疑われる症状がある場合
には、必ず医師の診察を受け、適切な治療を行う必要があります。
治療について
単純ヘルペス感染症の治療は、症状や重症度に応じて行います。
主な治療法
・抗ウイルス薬の内服
・点滴治療
・抗ウイルス薬の軟膏塗布
初感染で症状が強い場合や、全身症状を伴う場合には、入院治療が必要となることもあります。
日常生活での注意点(感染予防)
症状がある時期には、ウイルスの感染力が高くなります。
以下の点に注意してください。
・口の周囲や性器にできた水疱を触らない
(治りかけのかさぶたも、自然に取れるまで触らない)
・マスクを着用する
・手洗いを十分に行う
・症状が強い時は入浴を控える
また、ウイルスが付着した可能性のある「タオル/下着」は、煮沸消毒を行う・日光に当てて十分に乾燥させる、といった対応が有効です。
単純ヘルペスとHIV感染との関係
近年の研究により、単純ヘルペス感染症に罹患していると、HIV(AIDS)に感染しやすくなることが分かっています。
このため、「AIDSの蔓延防止/単純ヘルペスの再発抑制」という観点から、抗ヘルペス薬の長期内服療法が、保険診療として認められています。
再発を繰り返す方については、医師と相談のうえ、長期抑制療法を検討することがあります。
まとめ
単純ヘルペス感染症は、身近であり、再発を繰り返す可能性のある感染症です。
しかし、「正しい診断・適切な治療・日常生活での注意」を行うことで、症状の軽減や再発の予防が可能です。
症状がある場合や、不安がある場合には、早めに医療機関を受診し、ご相談ください。

