クラミジア感染症とは
クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis) という病原体によって引き起こされる感染症です。
この病原体は、ウイルスと細菌の中間のような性質を持ち、細胞の中でのみ増殖するという特徴があります。
現在、クラミジア感染症は 日本でも欧米でも最も多い性行為感染症(STD) であり、決して珍しい病気ではありません。
クラミジア・トラコマチスによる感染症としては、かつては眼の病気である濾胞性結膜炎(トラコーマ)がよく知られていました。 この病気が、クラミジアに感染した母親から生まれた赤ちゃんに起こる母子感染(産道感染)であることが明らかになったのは、比較的最近のことです。
その後、クラミジア・トラコマチスを検出する検査法が確立され、性行為感染症としてのクラミジア頚管炎、クラミジア骨盤内感染症などが診断できるようになりました。
調べてみると、非常に多くの人が感染しており、決して新しい病気ではないことが分かっています。
感染しても症状が出にくいという特徴
クラミジア感染症の最大の特徴は、男女ともに自覚症状が乏しいことです。
男性の場合
・尿道炎として発症することが多く
・尿道からの分泌物が下着に付着する
・排尿時の違和感や軽い痛み
などの症状がみられることがありますが、症状が軽いため気づかれないことも少なくありません。
女性の場合
・女性では、初期には 子宮頚管炎 として発症します。
・おりものがやや増える
・色やにおいが少し変わる
といった軽微な変化のみで、自覚症状がほとんどないことが多いのが特徴です。
女性で特に注意が必要な理由
女性の場合、クラミジア・トラコマチスは、精子と一緒に子宮から卵管、さらには腹腔内へ運ばれることがあります。
そのため、比較的早期に
・卵管炎
・骨盤腹膜炎
を発症することがあり、注意が必要です。
症状の進行とリスク
●卵管炎になると
・下腹部痛
・性交痛
が出現します。
●炎症が慢性化すると
・卵管閉塞
・不妊症
の原因となることがあります。
クラミジアによる卵管炎は腹痛を伴いますが、その痛みの程度には大きな個人差があります。
激しい腹痛で救急車を呼ぶほどの人もいれば、少し痛む程度で我慢できてしまう人もおり、決まった症状はありません。
咽頭クラミジアについて
近年では、オーラルセックスによる咽頭クラミジア感染もみられるようになっています。
特に、ファッション・ヘルスなどの接客業に従事する方を中心に報告されており、治療に難渋するケースもあります。
咽頭クラミジアは症状が出にくく、気づかないまま感染を広げてしまうことがあるため、注意が必要です。
検査方法について
症状や感染部位に応じて、以下の検査を行います。
クラミジア抗原検査(DNA-PCR法)
・主に【おりものの増加】・【性交後出血】など、子宮頚管炎が疑われる場合に行います。
・病原体の存在を直接証明する検査であり、陽性の場合は確実に治療が必要です。
ただし女性の場合、検体を採取できるのは子宮の入り口(子宮頚管)までのため、卵管炎や骨盤腹膜炎を起こしていても、抗原検査では陰性となることがあります。
クラミジア抗体検査(IgA・IgG)
下腹部痛などがあり、卵管や卵巣の炎症が疑われる場合に行います。血液中の抗体を調べる検査です。
ただし抗体検査は、【現在の感染】・【過去の感染】の区別がつきにくいという特徴があります。
●IgA抗体について
IgA抗体はクラミジアの活動性を示す抗体とされており、IgA抗体が高値で、かつ腹痛などの症状がある場合には、治療の対象となります。
治療について
治療は、以下のような抗生物質を使用します。
・マクロライド系抗菌薬
・ニューキノロン系抗菌薬
通常、1週間から2週間の内服治療を行います。
症状が軽くても、検査で陽性となった場合は、必ず最後まで治療を行うことが重要です。
パートナーの治療の重要性
クラミジア感染症は性行為感染症であるため、必ずパートナーの検査・治療が必要です。
男性の場合、尿検査が主体となりますが、この検査ではクラミジアDNAの検出率が低いことがあります。
そのため、男性の検査結果が陰性でも、パートナー(女性)が陽性であれば、双方同時に治療を行うことが重要です。これを行わないと、いわゆる「ピンポン感染」を繰り返す原因となります。
早期発見・早期治療のすすめ
クラミジア感染症は、
・症状が少ない
・気づかないうちに進行する
という特徴があります。
しかし、早期に発見し、適切な治療を行えば、重い合併症を防ぐことが可能です。
心当たりがある場合や、不安がある場合には、症状がなくても医療機関を受診し、検査を受けることをおすすめします。

